由良先輩はふしだら
「……っ、」
「小柴さん、いい子だから。大事にしなきゃね」
そう言って優しく笑う愛菜。
もともとこげ茶色の髪の毛は、昔から彼女を大人っぽく見せていて。あの頃はパーマなんてかけていなかったけど。
いちいち年の差を感じさせるそう言うのにもムカついていた。
つい最近まで、大好きでどうしようもなく欲しかったはずの人が、目の前にいるのに。
人っていつどこで誰と出会って変わるか、わからないものだ。
「……あのさ、愛菜」
ちゃんと過去にしたい。
愛菜のためにも。
でも、無かったことにはしたくないから。
俺の大切な、どれもかけがえのない思い出だから。
まっすぐ俺を見て「ん?」と首をかしげる愛菜。
「俺、ずっと愛菜のこと、好きだった」
「…………うん、」
まるで、俺が今から何を言うかわかってたみたいに、少しの沈黙の後に、そう返事をした愛菜。