由良先輩はふしだら
*
「何あれ」
「えっ、」
先輩との久しぶりのランチタイム。
いつもの外階段に向かって、先輩の隣に腰かけた瞬間、先輩の声に思わず聞き返す。
「ほ、ほんとですよね〜勝地のやつ!あ、でもきつく言っといたんで大丈夫ですよ!」
「全然大丈夫じゃねー」
後ろ髪をわしゃわしゃとしながらそういう先輩。
先輩にしては珍しい光景で思わず見入ってしまう。
「……美子、ほんっと気付いてないんだ」
「ん?な、何がですか?」
先輩は「まじか……」と言って頭を抱えた。
4日ぶりだっていうのに、先輩は、私に会えて全然嬉しくなさそうだ。
これからたくさん、お土産話しも聞きたかったのに。
「まぁ、いい。っていうか、よくもまあ、俺がちゃんと色々終わらせてきた間に、美子はほかの男の家でケーキねぇ〜」
「え、終わらせたって……?」
「愛菜と、ちゃんと話した。美子のおかげで前向けるようになったって。ちゃんと心から、結婚のこともおめでとうって言えた」
「あっ、そ、そうなんですか!?」
先輩のセリフに、驚いてじわじわと嬉しさが込み上げてくる。
ちゃんと、思い出に、できたんだ。