由良先輩はふしだら
「今までの子たちとはちょっと違うからね」
「あそう」
「目がすげぇ、綺麗なの」
まるで俺の気持ちを全部見透かしそうなあの純粋で綺麗な瞳。
「……」
「あの子といると自分が犯罪者になった気分になる。ちょっとだけ心が痛いよ」
「…へぇ。由良 広真に、まさか良心があったとは」
「だからひどいって」
俺はそう言って、薄く笑った。
さっきから、遠くから女子たちが俺たちを見てるのはわかっていたけど、クールで目つきの悪い宙には、女子たちが怯えて近付かない。
まぁ、そのおかげで甲高い声に囲まれなくて済むひと時ができて嬉しいんだけど。
俺にとって、俺を好きになってくれる女子は、愛菜に見せつける道具でしかなかったから、正直もう必要ない。
だけど…。
「由良くんっ!!」
「横顔本当かっこいいよね〜〜」
声のする方向に目をやると、騒いでいた女子たちがボッと顔を赤く染める。
それを確認してから、俺は営業スマイルのような作り笑顔を彼女たちに向けて、手を振る。
「…由良くんこっちみた!」
「手振ってくれた!」
「ほんっと、王子様!」
多分この癖は、なかなか治ってくれない。