由良先輩はふしだら
幸せな時間
《side 美子》
「怪しい…」
「……うっ」
教室に帰ってから早速、お弁当箱を片付けてる栞に下手くそな嘘話をしたら、案の定ギッと睨まれた。
「いい?美子、さっき佐藤に手伝いを頼まれたって言ってたけど、その佐藤は美子が教室を出て行ってすぐに、昨日の授業に取り上げた田口のスマホを返しに来てたの」
栞はそういうと、離れた席で焼きそばパンを頬張るクラスメイトの田口を指差した。
まじか、佐藤先生。
タイミング悪すぎじゃんか。
普段は生徒の校則違反なんてどうでもいいって顔してるくせに…よりによって。
「それとも、佐藤じゃなくてほかの先生に頼まれた?」
栞は意地悪な笑みを浮かべながらそういう。
ひどいよ…私の下手な嘘にとっくに気づいてるくせに。
「……実は」
栞に嘘をついても絶対無駄だということが改めてわかったところで、私は深く深呼吸してから、栞に本当のことを包み隠さず話した。