由良先輩はふしだら
「え、そんなに笑われると思わなかったんだけど。誰にだって苦手なもの1つや2つあるでしょう」
「いや、すみません、そうですねっ、ふっ」
「あー、ちょ、まだ笑ってるじゃん。クレープ取り上げるぞ〜」
由良先輩はそういいながら、私の元に手を伸ばし、クレープを奪おうとした。
「いや、これもう私のです!先輩がくれたので私のです!」
必死にクレープを守ろうと、先輩の方へ背中を向けながら、クレープを取られる前にと一生懸命頬張る。
「さっき、食べないって言ってたのどこの誰〜?」
「き、記憶にございませんっ!」
「隙ありっ!」
由良先輩は、そういうと、華麗に私の手からクレープを取り上げて、パクッと一口頬張った。
「ああっ!先輩の一口大きすぎです!」
「美子と大して変わんない」
「うぅ……」
突然の『美子』という呼び捨てにキュンとしたのと同時に、先輩の言う通り、私の一口もまぁ大きいので、恥ずかしくなる。