由良先輩はふしだら
どうして、久しぶりに笑ったのか、聞きたい。
どうして、あんな切ない顔をして、私を抱きしめて、キスをしたのか。
でも、聞いちゃいけない気がして。
聞いたらそれこそ、由良先輩に嫌われちゃいそうで。
「……ずっと好きだった人に、振られたんだ」
っ?!
一体誰の話をしているんだろうと考えて、間をおいて。
「えっと……由良先輩が、ですか?」
「なんで他人が振られた話するの。俺の話だよ」
いや、まぁ、そりゃ、全然知らない人が振られたなんて話されても反応に困るけれど。
でも、由良先輩が振られたってことの方が、ありえないことで、戸惑ってしまう。
「ずっと好きで、振られてもやっぱり忘れられなくて。そんな時に、美子と会った」
嘘……。
昨日、由良先輩は、好きだった人に、振られたの?
まさか誰も知らないような、こんな私に話してくれる先輩に、びっくりして固まってしまう。