由良先輩はふしだら




「あの……由良先輩、これ」


お昼休み。


見慣れた外階段に腰を下ろして、私は隣の彼に、そう言ってラップで包まれたおにぎりを渡す。


「え?これ……」


由良先輩の手のひらに乗った、海苔が巻かれた2つの
おにぎり。


「ごめんなさい、私、料理本当に苦手で!こんなものしか用意できなくて!でも、昨日のクレープのお礼もありますし、育ち盛りの由良先輩にはもっとたくさん食べていただかないと!」


家庭科の調理実習ではいつも失敗ばかりしちゃうし、ママにも、呆れられるほどの料理オンチだから、こんなものしかできないけれど。


せめて、私の感謝を何かで示さなきゃと思って、今日の朝早く起きて、ママに手伝ってもらいながら作ったおにぎり。


「美子が俺のために?」


優しくそう聞いてくる由良先輩に、胸がキューンと鳴る。


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