由良先輩はふしだら


美子にキスをしながら、俺の頭の中は、愛菜でいっぱいで。


なぁ、愛菜、あいつはどんなキスをするんだよ。


愛菜のそういう顔を勝手に妄想して、愛菜ではない彼女の首元に、顔を埋めて口付けする。


「ひっ、ちょ、先輩っ。……くすぐったい、です」


「すぐ気持ちよくなるよ、声我慢しなくていいから」


「っん、」


吐息混じりに、美子の耳元でそういうと、彼女の体がビクンっと反応した。


なにもかも初めてな美子のこと、大切に大事にしなきゃいけないのはわかっているけれど。


しょうがない。承諾したのはこの子だ。


愛菜だったらどんな反応するんだろう。
こんな時、どんな顔を見せてくれるんだろう。


あの男が愛菜のそういう顔を独り占めしていると思うと無性にムカつく。


俺の方が、ずっと一緒にいたし、愛菜をわかっているのに。


全部愛菜なら良かったのに。
俺がキスするのも、肌に触れるのも、全部全部。

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