由良先輩はふしだら


自分の名前が呼ばれた気がした。
でも、いや、まさかだ。


「ねぇ。先輩、美子のこと呼んでるよ」


あらあら、栞まで私と同じ幻聴が聞こえるようになっちゃって。

あんなにたくさんの女の子に囲まれながら、私の名前なんて。


「あっ、美子!」


へ?


教室の前のドアから顔を出して、こちらに手を振っているのは……はやり、紛れもない由良先輩。


なんでみんなの前で手なんか!これじゃあ、私と由良先輩に何か接点があるってほかの女の子たちにバレちゃう。


「えっ、なんで由良先輩と小柴さん?」

「付き合ってるって本当なのかな?一緒に帰ってるの見た人がいるんだって」

「嘘〜。だって、由良先輩って可愛い人としか付き合わないじゃん!」


うぅ。
クラスメイトや廊下にいる生徒からのセリフがグサグサと刺さる。


釣り合ってないことぐらい、わかってるよ……。


って、そうじゃなくて、今は!


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