由良先輩はふしだら
《side 広真》
「あの子、やめたほうがいいんじゃない?」
情報の時間。
今日の課題をとっくに終わらせた俺に向かって、隣に座る宙が突然そう言った。
パソコン室。
周りはまだ作業しているクラスメイトのタイピングの音が響く。
「美子のこと?」
「うん。今までの子達と違う。広真が言ったみたいに、純粋そうっていうか、彼女の悲しむ顔は見たくないって思う」
「……っ、」
宙がこんなことを言うなんて正直驚いたけれど。
俺だってその気持ちがよくわかるから、なにも言い返すことができない。
優しさで全部包んでくれるような彼女に甘えている。そんなのわかっている。
「ちゃんと振られたわけなんだし、いっそ、美子ちゃんをちゃんと好きになってみようって努力するのもいいんじゃない」
「それは、どうだろう……」