HARUKA~愛~
その日から1週間も経たないうちに母は入院した。

母の病室は玄希くんの病室とは違って大人6人部屋だった。

母には毎日来ても良いが、うるさくしないようにとだけ言われた。

私は毎日毎日通った。

だから、母が日に日に体力がなくなっていくのが目に見えて分かった。


あの時は分からなかったけれど、今なら分かる。


母にはもう為す術がなかったのだ。

抗がん剤治療で髪が抜け落ちても、手術をして癌を取り除いても、母が元の母に戻ることはなかった。

私は何も出来ないまま、母が弱って行く姿を目の当たりにして過ぎてく時間に乗って生きていた。



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