HARUKA~愛~
年が明けると母の体調は益々悪化していった。
「晴香…しばらく…お休みして…良いわよ」
母は私にこれ以上自分が弱って行く姿を見せたくなかったのだろう。
私にそう言って母は私とキョリを取るようになった。
2週間ぶりに行くと、母は口元を人工呼吸器で覆っていた。
「お母さん、私だよ。晴香だよ。今日はね、学校でね、体育やったんだ。マット運動だったんだけど、後転が出来ないんだ。私って…運動オンチなのかな?」
目を固くつぶっている母に私は普段通り話した。
母の車、助手席で母に語りかけていた1年前を思い出しながら。
母に聞こえているかは分からない。
でも聞いて欲しかった。
私の声を届けたかった。
母は頷かない。
冗談も言わない。
ただ、冷たく白い無機質な天井に顔を向けていた。
母は、この天井に吸い込まれそう…。
暖房が効き過ぎて暑かったわけでも無いのに、背中や額から汗が流れていた。
母の死期は近づいていた。
「晴香…しばらく…お休みして…良いわよ」
母は私にこれ以上自分が弱って行く姿を見せたくなかったのだろう。
私にそう言って母は私とキョリを取るようになった。
2週間ぶりに行くと、母は口元を人工呼吸器で覆っていた。
「お母さん、私だよ。晴香だよ。今日はね、学校でね、体育やったんだ。マット運動だったんだけど、後転が出来ないんだ。私って…運動オンチなのかな?」
目を固くつぶっている母に私は普段通り話した。
母の車、助手席で母に語りかけていた1年前を思い出しながら。
母に聞こえているかは分からない。
でも聞いて欲しかった。
私の声を届けたかった。
母は頷かない。
冗談も言わない。
ただ、冷たく白い無機質な天井に顔を向けていた。
母は、この天井に吸い込まれそう…。
暖房が効き過ぎて暑かったわけでも無いのに、背中や額から汗が流れていた。
母の死期は近づいていた。