HARUKA~愛~
父が色々取り込んでいる間、私は遊び場で1人、ケーキの箱をじっと見つめていた。


「晴香!!」

「…玄希くん?」


視線の先には彼がいた。

私は泣きそうになるのをこらえて笑顔を作った。


「お母さん…死んじゃった。でもね、私最期に話したんだよ。だから、もう大丈夫。ぜんっぜんへーきだよ!」

「晴香、泣いて。泣きたい時は…泣いて」

「別に、泣きたくなんか無いよ!私、平気なんだから」


私がそういうと、玄希くんは私の頭に右手を乗せて優しく撫でてくれた。

その手から伝わる温度に私の涙腺が刺激された。


「ウワーーーン、ウワーーーン!!」


ケーキの箱を放り投げ、玄希くんに抱きついて大泣きした。


涙も声も枯れても良い。


そう思って泣いた。



私が泣いている間、暖かいその手はずっと私の頭の上を縦横無尽に行ったり来たりしていた。


「晴香、お母さん、見てくれると思うよ。この先もずっと、ずっと、ずーっと」


私は泣きながら首を縦に振った。







お母さんは見守ってくれる。

広い広い空に浮かんで…。








私は今でもその言葉を信じている。
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