HARUKA~愛~
小学校の卒業式に父は来なかった。

学校のことを何にも知らない祖母が代わりに担任にお礼の言葉を述べ、花束を渡した。

社交的な祖母は、人脈が深かったため、母の葬式の手配も、49日の法要の際に出すご馳走も、全て父がやる前に準備していた。

そんな祖母も体調を崩すとぽっくりと死んでしまった。



そして中学校の入学式。

父は遅れてきたくせに周りを気にすることなく、堂々と体育館のど真ん中を歩いて来て、用意されていた私のクラスの椅子に腰掛けた。


その行為が命取りだった。



当時私は、非常識な父の娘ということでクラスメートから白い目で見られていた。

いつの間にか、母がいないということも知れ渡り、“かわいそうな女の子”というレッテルを貼られて生活しなければならなくなった。

私に優しくしてくれる子もいないことはなかったが、クラスが離れると話しかけられることは無くなった。


―――同情の友人ならいらない。


次第にそう思うようになっていった。


私の凍り付いた心はこうして形成されていった。
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