HARUKA~愛~
「わあ…!」



深夜だというのをすっかり忘れて思わず歓声を上げてしまった。


私の目に飛び込んで来たのは、ビーチの写真だった。

夕日に照らされた海はその光を受け、橙色に染まっている。

ちょうど写り込んだ、誰かが一生懸命作ったのであろう白い砂山と浮き輪の感じがなんとも幻想的だ。

写真の右脇には、筆記体で

“I wanna go with you someday.”

と吹き出しが添えられている。


更にページをめくると、ロスに来たと一目で分かるハリウッドサインとその隣にハリウッド通りの写真が載っていた。

どうやらこの説明によると、ハリウッド通りには星がたくさんあり、その星形に有名人の名前が刻まれているらしい。
この写真集に収められているのは世界的有名ダンサーの星だった。


次のページは、若者のショッピング街とハンバーガーの写真。
オススメのハンバーガーショップの名前まで教えてくれた。

その次のページには、ドーナツやベーグル、アイスクリームなどのスイーツ系の写真が載せられ、目にも鮮やかだった。


そして圧巻だったのが、グリフィス天文台からの夜景を切り取った1枚。

ロスの華やかな街のイメージがそのまま写真になった感じで、特別なものは何1つ無いのに、言葉では言い尽くせない感動を覚えた。

ホテルを抜け出してこっそり撮りに行ったというこの1枚は私の頭にも心にも深く刻み込まれた。


その他にも自由の女神やディズニーランドのアトラクションや食べ物が、見るものを自然と惹きつけてしまうようなアングルで撮られていて、私の気持ちも高ぶった。











 


“I love you.”




最後のページの一言が、この写真集の全てを物語っていた。





この写真集は私が見失いそうになっている物をつなぎ止めてくれる。

本当に大切な物だけを入れて置く宝箱の中央に収めた。
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