HARUKA~愛~
桜の木は青々と茂っている。

太陽の光を極力避けながら坂道を降りていく。






ふう~…







私の現状を表すように、深い溜め息が出た。






どこまでも、どこまでも限り無く続く青空を見上げる。 

白い飛行機雲がひとつ、雄大なキャンバスに描かれていて、鳥が一羽翼を大きく広げて飛んでいた。




今日もまたバイトだ…




鳥になりたい。

目的もなく自由に飛んで世界中の空を見てみたい。





私に今見えているのは、底が見えない深い深い溝。

私と父の間に生まれたその溝は、私の行く末を明るく照らしてはくれない。













父はもうすぐ私を捨てる。

父は父になるのだ。
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