HARUKA~愛~
父は旅行バスの運転手だ。

決して収入が多い訳じゃない。

だから、私達はマンションに住むことが出来ず、親子3人、アパート暮らしをして来た。



そのアパートから人が1人居なくなり、また1人居なくなったのは、私が中学3年生の冬頃。

インフルエンザにかかったのに、私は、はうはうの体で学校に行き、階段で倒れ、数段転げ落ちた。

病院には養護教諭が付き添ってくれて家まで送ってくれたが、私を心配して父が帰ってくることはなかった。


その時、思ったんだ。


ああ、私、1人になるんだな…

お父さんにも置いて行かれるんだな…


って。


でも不思議と瞼の裏は熱くならなかった。

熱がなかなか下がらなくて、身体の節々が痛くて、悲しみは自然と蒸発した。
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