HARUKA~愛~
「じゃじゃ~ん!!」
「うわ、すげー!2人で作ったのか?」
「私達2人で昨日作ったんだ。冷凍庫に入りきるか心配だったけど…」
目の前には総制作時間5時間の特大アイスケーキがそびえ立っている。
ミルクアイスをスーパーに在るだけ買い占め、宙太くん家の台所を借り、3段アイスケーキを作った。
生クリームにチョコペンやアラザン、金平糖で周りをデコレーションし、トップには板チョコに“Haruka Happy birthday!”と書いて乗せた。
遥奏はたいそう気に入ってくれたみたいで、パシャパシャとスマホのカメラを連写させていた。
「早く食おーぜ!溶けちまうよ~」
宙太くんの言うとおり、徐々に溶け出し、皿からバニラアイスがピタピタとこぼれて来ていた。
ハッピーバースデーの歌を2倍速で歌い上げ、臨時で用意したたった1本のキャンドルに遥奏は息を思いっきり吹きかけた。
「よし、じゃあ切り分けよう!こういうのは女子の仕事だよな。…アオハル、よろしく!」
気取って敬礼してくる宙太くんをギロリと睨み付けてから、包丁でゆっくりと落ち着いて切り分けた。
「あっ!ハルカップルのケーキ入刀を見たかったんだ!!チクショー!俺のアホ、バカ、おたんこなす!!」
お笑い芸人張りのツッコミに、本人も遥奏もお腹を抱えて笑っている。
私は2人と笑いあわず、1人別のことを考えていた。
「よしよし、宙太、もう良い。早く食おう」
遥奏が宙太くんの口にアイスケーキを突っ込み、急激に口の中を冷やされた彼は頬に両手を当て、次に頭に手をやった。
相当頭がキーンと鳴っているに違いない。
かわいそうな彼を尻目に、私も一口食べてみる。
初めて食べたmowのバニラアイスはたまらなく濃厚でおいしかった。
乳脂肪が醸し出す見事な濃厚さに私までとろけそうになったほどだ。
遥奏は、相好を崩し、実際は無理だが、一口一口を噛み締めるように味わって食べていた。
遥奏の食べる姿はいつ見ても愛おしい。
ずっと目の前に座って眺めていたいと思ってしまう。
ふと遥奏が視線を上げ、私とばっちり目が合った。
「ハル、アイス口に付いてる」
遥奏のきれいな長い指が私の唇に触れた。
掬われたアイスはそのまま遥奏の口の中に入っていった。
「う~ん、美味しい」
「おい!なに勝手にいちゃついてんだよ?!」
また宙太くんが嫉妬し、遥奏になだめられる。
私はやっぱり近くて遠いキョリから、彼らの様子を見ていた。
私は…
私は…
もしかしたら…
「ハ~ル、どうしたんだよ。浮かない顔して」
「全然そんなことないよ!遥奏に唇触られてちょっと動揺しただけ」
「お前らマジムカつく!早く俺もカノジョほし~い!!」
宙太くんの願いはいつになったら叶うのだろうか。
彼の願いが叶うかどうかは別として、今回のサプライズ誕生日は大成功に終わった。
宙太くんは大好きな親友をまた笑顔にすることが出来た。
そして、その笑顔に私は大切なことを気づかされる。
私は…
もしかしたら…
本当は…
好きじゃない、のかもしれない。
いや、好きだ。
大好きだ。
でも、それは遥奏だけに対する感情ではないのかもしれない。
私が本当に好きなのは…
阿部遥奏と長内宙太の関係性…だ。
「うわ、すげー!2人で作ったのか?」
「私達2人で昨日作ったんだ。冷凍庫に入りきるか心配だったけど…」
目の前には総制作時間5時間の特大アイスケーキがそびえ立っている。
ミルクアイスをスーパーに在るだけ買い占め、宙太くん家の台所を借り、3段アイスケーキを作った。
生クリームにチョコペンやアラザン、金平糖で周りをデコレーションし、トップには板チョコに“Haruka Happy birthday!”と書いて乗せた。
遥奏はたいそう気に入ってくれたみたいで、パシャパシャとスマホのカメラを連写させていた。
「早く食おーぜ!溶けちまうよ~」
宙太くんの言うとおり、徐々に溶け出し、皿からバニラアイスがピタピタとこぼれて来ていた。
ハッピーバースデーの歌を2倍速で歌い上げ、臨時で用意したたった1本のキャンドルに遥奏は息を思いっきり吹きかけた。
「よし、じゃあ切り分けよう!こういうのは女子の仕事だよな。…アオハル、よろしく!」
気取って敬礼してくる宙太くんをギロリと睨み付けてから、包丁でゆっくりと落ち着いて切り分けた。
「あっ!ハルカップルのケーキ入刀を見たかったんだ!!チクショー!俺のアホ、バカ、おたんこなす!!」
お笑い芸人張りのツッコミに、本人も遥奏もお腹を抱えて笑っている。
私は2人と笑いあわず、1人別のことを考えていた。
「よしよし、宙太、もう良い。早く食おう」
遥奏が宙太くんの口にアイスケーキを突っ込み、急激に口の中を冷やされた彼は頬に両手を当て、次に頭に手をやった。
相当頭がキーンと鳴っているに違いない。
かわいそうな彼を尻目に、私も一口食べてみる。
初めて食べたmowのバニラアイスはたまらなく濃厚でおいしかった。
乳脂肪が醸し出す見事な濃厚さに私までとろけそうになったほどだ。
遥奏は、相好を崩し、実際は無理だが、一口一口を噛み締めるように味わって食べていた。
遥奏の食べる姿はいつ見ても愛おしい。
ずっと目の前に座って眺めていたいと思ってしまう。
ふと遥奏が視線を上げ、私とばっちり目が合った。
「ハル、アイス口に付いてる」
遥奏のきれいな長い指が私の唇に触れた。
掬われたアイスはそのまま遥奏の口の中に入っていった。
「う~ん、美味しい」
「おい!なに勝手にいちゃついてんだよ?!」
また宙太くんが嫉妬し、遥奏になだめられる。
私はやっぱり近くて遠いキョリから、彼らの様子を見ていた。
私は…
私は…
もしかしたら…
「ハ~ル、どうしたんだよ。浮かない顔して」
「全然そんなことないよ!遥奏に唇触られてちょっと動揺しただけ」
「お前らマジムカつく!早く俺もカノジョほし~い!!」
宙太くんの願いはいつになったら叶うのだろうか。
彼の願いが叶うかどうかは別として、今回のサプライズ誕生日は大成功に終わった。
宙太くんは大好きな親友をまた笑顔にすることが出来た。
そして、その笑顔に私は大切なことを気づかされる。
私は…
もしかしたら…
本当は…
好きじゃない、のかもしれない。
いや、好きだ。
大好きだ。
でも、それは遥奏だけに対する感情ではないのかもしれない。
私が本当に好きなのは…
阿部遥奏と長内宙太の関係性…だ。