HARUKA~愛~
帰り道。


カラオケボックスに3時間監禁され、
喉が痛くなる位にまで熱唱し、私の体は満身創痍だった。

理由はそれだけではないけど、とりあえずそういうことにしておこう。







―――――誕生日。

最後に祝ってもらったのはいつだっただろう。

もはや、自分の誕生日も忘れかけている。

私の記憶に在る限りでは、最後にバースデーケーキを食べたのは小学1年生の時だ。

人工呼吸器をつけられ、苦しそうだった、私にとって最愛の人は、私の髪を撫でながらこう言った。


「晴香、お誕生日おめでとう。ずっとずーっとあなたのそばにいるからね」


私はその手の温もりを感じながら、旬の苺が溢れんばかりに乗ったホールケーキを切らずに、とんでもないところにフォークを刺して苺と生クリームだけをすくい上げて食べた。

「ダメでしょう」と優しく注意されて少し悲しかったのを覚えている。


そして、誰かが病室に入って来たんだ。


「晴香、ハッピーバースデー!!」













誰…














誰なの?













どうして…














どうして…














どうして思い出せないの?













私の…














大切な…













初恋の人。
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