HARUKA~愛~
月と周りの淡い電灯が、奇しくも目元を輝かせていた。

ヤツは手の甲でゴシゴシと光を消し去ると私に笑顔を向けた。

今まで見てきたどんな笑顔よりぎこちなくて苦しそうで、私は目を伏せてしまった。


見ていられなかった。


胸がこんなにも苦しいのはあの日以来だ。







―――私の大切な人を亡くしたあの日…。








私が黙り込んでいるとヤツがムリに笑ってしゃべりかけてきた。


「蒼井さんも花火大会来てたんだ。花火、きれいだったよね」













なんで…






なんで…






なんでなんで…







蒼井さん、なの?







「蒼井さんは何が1番良かった?おれはね、しゃく玉だな。最後の超特大、かっこよかった!」




しゃべり方、そんなんじゃない。





ヤツは、こんなしゃべり方しない。







ねえ、なんで?



どうして?



どうして私とキョリをとるの?






「もう遅いから帰った方が良いよ。おれも帰るから、途中まで送って行くね」






私は…








ちょっとおかしくなったのかもしれない。

頭のネジが1本も2本も、いやそれ以上とれてしまったのかもしれない。







「バカ!!」









私の怒鳴り声は紛れもなく近所迷惑だった。
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