HARUKA~愛~
なんだか、あれよあれよと言う間に時間は流れ、グランドフィナーレを迎えようとしていた。

カッコつけたけれど、日本語で言うとただの閉会式。

そこでクラスの出し物とその他団体の出し物の大賞がそれぞれ選出され、授賞式が行われることになっている。

ちらりと右隣の遥奏を見上げるとその表情はいつもより固かった。

おそらく、バスケ部の演劇の結果が気になるのだろう。

クラスの方に混ざれないくらい必死に全身全霊で取り組んだ劇だから、グランプリを取りたいという強い気持ちがあるのだと思う。

ギリギリのところで最終公演に間に合って遥奏たちの演劇を見たけれど、凄く感動して、心のど真ん中を射抜かれた。

ラブコメなのに、主人公が一途に女の子を思い続ける姿に妙に心を打たれ、感情移入してしまって、思いが実を結んでハッピーエンドとなった瞬間に体中に血が巡って訳もなく涙が出てきてしまった。

遥奏の渾身の作品に心の中で一票投じた。


どうか先生方にも、彼らの伝えたいメッセージが伝わっていますように…。


私は目をつぶってドキドキの瞬間を待った。
< 57 / 134 >

この作品をシェア

pagetop