HARUKA~愛~
しばらく教室の自分の机に突っ伏していた。

体はだるいし、頭はガンガンと激しく痛んで何もすることが出来なかった。




閉会式が終了し、廊下が騒がしくなってくるのが分かると咄嗟に片付けているふりをした。

足音が徐々に大きくなり、教室の扉が勢いよく開く。

貝殻がたった1枚しかない砂浜にザブーンと大波が押し寄せたかのようだった。


「いやあ、楽しかったなぁ!」

「フィナーレの巨大クラッカー、すごかったよね!?」

「カップケーキおいしかった!」

「いやいや、ソフト部のクレープの方がうまかったっしょ?」


クラスメートが楽しそうに話している中、私は1人取り残されていた。

大波は私をさらってくれなかった。
 
生憎私を照らしてくれる太陽は今日は照らされる側だからここにはいない。


私は死んだ星。
目に見えない空気。


照らしてもらえないから、陰で黙々と作業を進める。


スイーツ作りに使ったホットプレートや調理器具を洗い、椅子に上って装飾を取り外した。

誰も手伝わない。

皆自分しか見えてない。

蒼井晴香がやってるから良いとでも思っているのだろう。

あいつにやらせておけばいいんだってそう思っているに違いない。

クラスメートが皆私の敵になった気がした。

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