HARUKA~愛~
こんな時間に走りたいなんて、思わない。
でも、私は走っていた。
探していた。
手紙の差出人を…。
あそこに行けば、見つけられるかな?
電車に揺られ、降りたと思ったら急な坂を駆け上がり、良い子を起こさないよう、サンタクロースの邪魔をしないよう、ニュータウンを走った。
街をのぞむ展望デッキまでの長い階段に耐え、ようやく目的地に辿り着く。
2年前と変わらぬ景色がそこには広がっていた。
ライトアップされた観覧車。
人工的な街の灯り。
見上げる空を彩る満点の星。
ほのかに優しく光る月。
ふわりと舞い降りる粉雪。
何も変わっていない。
ただヤツがいないだけ。
内心、いると確信していた。
この場所で笑顔を浮かべてケーキを食べながら私が来るのを待ってるんじゃないかと思ってた。
でもいない。
360度見回してもいない。
あの日食べたケーキの味が恋しかった。
また食べたいと思った。
思い返せば、あの時ヤツは言っていた。
これが私と過ごす最初で最後のクリスマスだと。
つまり、2度とヤツはここに来ない。
星がたくさん見えるこの場所に…。
ブー、ブー…
スマホが鳴った。
電源を入れると、緑色の画面が映し出された。
この景色に不似合いな色、光。
見ると遥奏からだった。
メリークリスマス!!
ハルは勉強中かな?
俺は…
そこでラインのメッセージは途切れていた。
電源ボタンを押し、もう少し夜景を楽しもうと顔を上げた。
―――その時だった。
「ハル!!」
私の名前を呼んだのは、遥奏だった。
でも、私は走っていた。
探していた。
手紙の差出人を…。
あそこに行けば、見つけられるかな?
電車に揺られ、降りたと思ったら急な坂を駆け上がり、良い子を起こさないよう、サンタクロースの邪魔をしないよう、ニュータウンを走った。
街をのぞむ展望デッキまでの長い階段に耐え、ようやく目的地に辿り着く。
2年前と変わらぬ景色がそこには広がっていた。
ライトアップされた観覧車。
人工的な街の灯り。
見上げる空を彩る満点の星。
ほのかに優しく光る月。
ふわりと舞い降りる粉雪。
何も変わっていない。
ただヤツがいないだけ。
内心、いると確信していた。
この場所で笑顔を浮かべてケーキを食べながら私が来るのを待ってるんじゃないかと思ってた。
でもいない。
360度見回してもいない。
あの日食べたケーキの味が恋しかった。
また食べたいと思った。
思い返せば、あの時ヤツは言っていた。
これが私と過ごす最初で最後のクリスマスだと。
つまり、2度とヤツはここに来ない。
星がたくさん見えるこの場所に…。
ブー、ブー…
スマホが鳴った。
電源を入れると、緑色の画面が映し出された。
この景色に不似合いな色、光。
見ると遥奏からだった。
メリークリスマス!!
ハルは勉強中かな?
俺は…
そこでラインのメッセージは途切れていた。
電源ボタンを押し、もう少し夜景を楽しもうと顔を上げた。
―――その時だった。
「ハル!!」
私の名前を呼んだのは、遥奏だった。