HARUKA~愛~
マスターと日向さんが、仲良く並んでコーヒーを淹れていた。
厳密に言うと、マスターは椅子に腰かけ、コーヒーの淹れ方を日向さんにレクチャーしているところだった。
「晴香ちゃん、元気じゃったか?」
「晴香ちゃん、久しぶり!受験、お疲れ!!」
2人共変わらぬ笑顔で暖かく迎えてくれた。
私の居場所はある。
ちゃんとここに残っている。
そう感じられて、心を縛り付けていた糸が数本ぷつりと切れた気がした。
「晴香ちゃん、コーヒー飲むかい?」
「はい。お願いします」
マスターの指導を受け、日向さんがコーヒーを淹れてくれた。
鼻を喜ばせてくれる、芳醇な香り。
もくもくと立ち上がる湯気が私の冷たくなった頬をゆっくりと温めてくれた。
カップの取っ手を持ち、口元に持ってくる。
鼻で香りを嗅いで、心が完全に安まったら口にコーヒーを含む。
ああ…
おいしい…
じんわりと体の芯から暖かくなった。
「おいしいです、すごく…」
「良かった~。マズいって言われたらどうしようかと思った」
「マスターと日向さんが心を込めて淹れてくださったのが良く伝わりました。そんなコーヒーが不味いわけないです!」
「晴香ちゃん…ありがとな」
「ありがとう、晴香ちゃん」
素直に自分の気持ちを口にして、こんなに喜んでもらえたのは、産まれて始めてではないにしても、指で数えられる程度だ。
直球も悪くない。
ふとヤツの顔が浮かんだ。
ヤツはいつが受験日なのだろう。
あの日以降、まともに話していなかった。
ヤツは私のことを割と知っているのに私はヤツのことをほとんど知らない。
ヤツは今、何しているのだろう。
どこで勉強しているのだろう。
「晴香ちゃん」
「あっ…はい」
ぼーっとしていた私は日向さんの声で我に返った。
「受験、合格したらスペシャルメニュー用意してあげるよ。だから、忘れずに報告してね」
「晴香ちゃんなら、きっと大丈夫じゃ」
きっと大丈夫…。
その言葉は…
厳密に言うと、マスターは椅子に腰かけ、コーヒーの淹れ方を日向さんにレクチャーしているところだった。
「晴香ちゃん、元気じゃったか?」
「晴香ちゃん、久しぶり!受験、お疲れ!!」
2人共変わらぬ笑顔で暖かく迎えてくれた。
私の居場所はある。
ちゃんとここに残っている。
そう感じられて、心を縛り付けていた糸が数本ぷつりと切れた気がした。
「晴香ちゃん、コーヒー飲むかい?」
「はい。お願いします」
マスターの指導を受け、日向さんがコーヒーを淹れてくれた。
鼻を喜ばせてくれる、芳醇な香り。
もくもくと立ち上がる湯気が私の冷たくなった頬をゆっくりと温めてくれた。
カップの取っ手を持ち、口元に持ってくる。
鼻で香りを嗅いで、心が完全に安まったら口にコーヒーを含む。
ああ…
おいしい…
じんわりと体の芯から暖かくなった。
「おいしいです、すごく…」
「良かった~。マズいって言われたらどうしようかと思った」
「マスターと日向さんが心を込めて淹れてくださったのが良く伝わりました。そんなコーヒーが不味いわけないです!」
「晴香ちゃん…ありがとな」
「ありがとう、晴香ちゃん」
素直に自分の気持ちを口にして、こんなに喜んでもらえたのは、産まれて始めてではないにしても、指で数えられる程度だ。
直球も悪くない。
ふとヤツの顔が浮かんだ。
ヤツはいつが受験日なのだろう。
あの日以降、まともに話していなかった。
ヤツは私のことを割と知っているのに私はヤツのことをほとんど知らない。
ヤツは今、何しているのだろう。
どこで勉強しているのだろう。
「晴香ちゃん」
「あっ…はい」
ぼーっとしていた私は日向さんの声で我に返った。
「受験、合格したらスペシャルメニュー用意してあげるよ。だから、忘れずに報告してね」
「晴香ちゃんなら、きっと大丈夫じゃ」
きっと大丈夫…。
その言葉は…