HARUKA~愛~
「さ、お、と、め、げ、ん、き?」
「うん。僕の名前は早乙女玄希。今、心臓が悪くて入院中」
「へえ、大変なんだね~」
玄希くんが私のノートにひらがなで自分の名前を書いて教えてくれた。
「教えてくれてありがとう。はい、お礼のチョコ」
「あっ…ありがとう」
私達は中庭のベンチに座りながら、 Newチョコを口いっぱいに頬張った。
Newの意味はその時の私には分からなくて、ただクラスメートも食べたことがないであろう珍しいチョコを手に入れられた優越感に浸っていた。
玄希くんは幸せそうな顔をして食べている。
まぶしい夕日に照らされて、玄希くんの白い肌が淡くオレンジ色に染まっていた。
「蒼井さんは、何か病気?」
「私はお母さんがここでお仕事してるから毎日ここに来てるんだ」
「いいね、学校行けて。…僕、まだ小学校1度も行ったことないし、幼稚園にもあんまり行けなかったんだ」
「そう…なんだ…」
胸がこんなにも痛かったのはこの時がきっと初めてだった。
自分に出来ることが、玄希くんには出来ない。
幼いながらに、その悲しい事実に心を痛めていた。
「蒼井さん、明日も来る?」
「もちろん来るよ!お母さんには嫌がられているけど、来るつもり。もちろん、玄希くんに嫌がられても、毎日来る!」
「じゃあ、勉強教えて。僕、お医者さんになりたいんだ」
「お医者さんかあ、すごいね!私、あんまり頭良くないかもしれないけど許してね。…じゃあ、約束。小指、出して」
私が左手の小指を出すと玄希くんはまたも驚いた。
「珍しいね。左利き?」
「そうなんだ。すごいでしょう?」
「いや…僕も左利き」
「なにそれ~。なんかがっかりした!」
ごめんねと謝る玄希くんの右手の小指に強引に指を絡めた。
「ウソついたら針千本のーます、指切った!」
この時初めて玄希くんと約束した。
「うん。僕の名前は早乙女玄希。今、心臓が悪くて入院中」
「へえ、大変なんだね~」
玄希くんが私のノートにひらがなで自分の名前を書いて教えてくれた。
「教えてくれてありがとう。はい、お礼のチョコ」
「あっ…ありがとう」
私達は中庭のベンチに座りながら、 Newチョコを口いっぱいに頬張った。
Newの意味はその時の私には分からなくて、ただクラスメートも食べたことがないであろう珍しいチョコを手に入れられた優越感に浸っていた。
玄希くんは幸せそうな顔をして食べている。
まぶしい夕日に照らされて、玄希くんの白い肌が淡くオレンジ色に染まっていた。
「蒼井さんは、何か病気?」
「私はお母さんがここでお仕事してるから毎日ここに来てるんだ」
「いいね、学校行けて。…僕、まだ小学校1度も行ったことないし、幼稚園にもあんまり行けなかったんだ」
「そう…なんだ…」
胸がこんなにも痛かったのはこの時がきっと初めてだった。
自分に出来ることが、玄希くんには出来ない。
幼いながらに、その悲しい事実に心を痛めていた。
「蒼井さん、明日も来る?」
「もちろん来るよ!お母さんには嫌がられているけど、来るつもり。もちろん、玄希くんに嫌がられても、毎日来る!」
「じゃあ、勉強教えて。僕、お医者さんになりたいんだ」
「お医者さんかあ、すごいね!私、あんまり頭良くないかもしれないけど許してね。…じゃあ、約束。小指、出して」
私が左手の小指を出すと玄希くんはまたも驚いた。
「珍しいね。左利き?」
「そうなんだ。すごいでしょう?」
「いや…僕も左利き」
「なにそれ~。なんかがっかりした!」
ごめんねと謝る玄希くんの右手の小指に強引に指を絡めた。
「ウソついたら針千本のーます、指切った!」
この時初めて玄希くんと約束した。