私の知らないあなた
 ショックだった。

 でもわたし以上に優斗はショックだったに違いない。

 そういう時の優斗は部屋の隅に丸くうずくまり、まるで置物になってしまったかのように何時間も動かなかった。

 以前の優斗が眩しすぎただけにその違いは残酷だった。

 優斗は今までとは違う自分の現実と向き合って生きていかなければいけないのだ。

 ならば私も同じだ。

 以前のように結婚、出産、子育てが人生の目的だった私から変わらないといけない。

 



 私は仕事が終わったあと、歯科衛生士の資格を取るために夜間の学校に通いだした。

 優斗はこれから私が守っていく。

 私は強く心に決めた。

 
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