私の知らないあなた
ある日優斗は言った。
二人でクリスマスツリーの飾りつけをしている時だった。
「大学を卒業したあと少しぐらいは社会に出て働いてみた方がいいと思うよ。それから結婚して子どもを産んでもぜんぜん遅くないよ」
まるで他人事のように話す優斗に思わず訊き返す。
「結婚と子どもっていったい誰の?」
優斗は目を丸くした。
「僕と雫に決まってるじゃないか」
幸せすぎるほど幸せだった。
「じゃあ、将来は子どもたちと一緒にツリーの飾りつけができるのね」
「海外では本物のもみの木に飾るんだってさ、子どもとかそういうの喜びそうだよな」
前に見たアメリカ映画のワンシーンを思い出す。
一家の大黒柱である父親が大きなもみの木を肩に背負い、その周りを子ども達が嬉しそうに歩きクリスマスソングを歌っている。
優斗をその父親に重ね、まだ見ぬ私たちの子どものことを思った。
二人でクリスマスツリーの飾りつけをしている時だった。
「大学を卒業したあと少しぐらいは社会に出て働いてみた方がいいと思うよ。それから結婚して子どもを産んでもぜんぜん遅くないよ」
まるで他人事のように話す優斗に思わず訊き返す。
「結婚と子どもっていったい誰の?」
優斗は目を丸くした。
「僕と雫に決まってるじゃないか」
幸せすぎるほど幸せだった。
「じゃあ、将来は子どもたちと一緒にツリーの飾りつけができるのね」
「海外では本物のもみの木に飾るんだってさ、子どもとかそういうの喜びそうだよな」
前に見たアメリカ映画のワンシーンを思い出す。
一家の大黒柱である父親が大きなもみの木を肩に背負い、その周りを子ども達が嬉しそうに歩きクリスマスソングを歌っている。
優斗をその父親に重ね、まだ見ぬ私たちの子どものことを思った。