私の知らないあなた
 家に帰り朝忘れたスマホを手に取りどきりとする。

 おびただしいメッセージと着信履歴が残っていた。

 さっき私に笑顔で「おやすみ」と言った優斗がしたこととは思えない。

 きっと今日は本当に何か嫌なことがあったんだ。

 それに遅刻したりスマホを忘れた私が悪いんだし、そう自分に言い聞かせた。



 これが最初だった、そして次はすぐにきた。


 優斗はその日デートに着てきた私の服装が気に入らなかったらしい。

「なんだよその服、そんな胸元の開いた服誰に買ってもらったんだよ」

 以前に何度か優斗とのデートに着たことのあるワンピースだった。

「前にも着てきたことあるよ、そのとき優斗褒めてくれたよ」

 私がそう言うと、「違う、ちょっと違う」と言い張る。

 最後は私が根負けして「うん、ごめんね、もうこの服は着ないようにするね」と謝った。
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