魁桜〜愛の彼方に見えるもの〜
学校では先生にも生徒にも距離を置かれ、施設では腫れ物を触るように扱われている。
そんな時に拾ってくれた2人の先輩は、私たちにとって兄のような存在。
タメ口で話しかけて生意気な口を聞いているが、心の中ではいつかああなりたいと思いながら側にいる。
悠「藍乃ー、彼方ー。総長のお呼び出しだぞー」
いつものように倉庫で過ごしていたある日、私と彼方は総長に呼ばれた。
現在の幹部候補以上の先輩方が集まった後の話だった。
「失礼します」
部屋におそるおそる入ると、やはり先輩方が集まっている。
総長はこちらを向くと「やっと来たか」と笑った。
総「率直に言う。お前らを幹部候補としたい。だからある程度仕事を覚えてもらいたいし、藍乃と彼方にも戦ってもらいたい」
戸惑った私と彼方は、「えっ……」と言ったっきり黙ってしまった。
詳しく聞くと、今呼ばれたのは現在の幹部候補……すなわち次期幹部とその次の幹部候補らしい。
このチームでは、在任幹部と次期幹部が話し合って、次の候補を決める。
つまり、「候補のうちに先輩達を見て学んでおけよ」というわけだ。
「じゃあ、悠馬……さんたちも私たちも引き継ぎのために呼ばれたと……」
総長は「ご名答」と言って私と彼方の頭を乱暴に撫でた。
総「今の予定では悠馬が総長、裕二が 副総長。これはもう2人には伝えているな。情報が竹本勇気で戦闘が山川侑斗、救護が笹本雄也。今回の縛りはユウだ!藍乃、どう思う?これ」
総長は自信満々で私に言った。
「総長アホですか?新しく入った子が覚えられないですって」
うちの総長は代々アホだと言っていたのもこの人だ。