プレシャス~社長と偽りの蜜月~
樹彦から告げられた衝撃の真実。

「寝てるのか?朱音」

いつもの甘いテノールの声で話し掛けながら部屋に入って来た。

私はソファに腰を下ろし、クッションを抱っこしながらスマホを弄る。

「朱音、帰ったぞ」

「私…樹彦から全部訊いたわよ。雅人」

私はスマホから目を離し、鋭い視線を雅人に向けた。

「こんなに早くバレるとは・・・」
雅人はある程度、自身の嘘がバレるコトを予想していた。

「雅人…貴方…」

私の怒りは沸点を超えて、気づけば手に持っていたスマホを雅人に投げつけた。

「痛っ!?」

雅人の額に上手くスマホが当たって流血した。

私は雅人の額から流れる血を見てワナワナとカラダを震え始め、脳裏に何かを浮かべた。

事故の光景かもしれない・・・


薄れる意識の中で見た頭から血を流す男性の顔。

「ゴ、ゴゴメンなさい・・・」

私は部屋を飛び出し、浅田さんを呼びに行った。

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