プレシャス~社長と偽りの蜜月~
***

「社長、一体どう言うコトですか?私は一言も訊いておりませんが・・・」

豊永さんは急な私の秘書復帰に反発した。


「怪我が完治したと言え、以前の記憶を全て無くされて、それで秘書業務が務まるのですか?」

「妻のたっての願いだ・・・豊永さん君がフォローしてくれ」

豊永さんは私達の前で盛大な溜息を吐いて嫌々そうに顔を顰めた。


「豊永さんの言いたいコトはよく理解出来てるよ。でも、朱音のわがまま訊いてくれないか?」

わがままって・・・その雅人の言い方にムカッとした。


「社長がそう仰るなら、私は全力で奥様をフォロー致します」


「ありがとう。豊永さん」


豊永さんは全てを吞み込んで、私のフォローを雅人に誓った。


豊永さんの態度からは雅人に対する好意が見える。

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