プレシャス～社長と偽りの蜜月～

PART9＊愛される方法ー雅人SIDE－

「社長、朝から溜息ばかり付いて、奥様と何かありました？」

俺の本日の予定を告げると、豊永さんは心ここに在らずの俺を心配した。

｢彼女が妊娠した・・・」

「・・・それはおめでたいコトなのに・・・私からしてみればショックなコトですけど。私のキモチは割愛して頂いて結構です」

「…世間一般で見れば、おめでたいコトだな」

「奥様は今でも離婚を望まれているんですか？」

「子供は中絶したいと言っている・・・俺は随分と嫌われたものだ」

あの男に朱音の全てを持って行かれてしまったのは本当だ。

誰も嫌いな男の子供なんて産もうと思わないよな。

「・・・妻に愛して貰うにはどうすればいいのかな？」

俺は豊永さんに答えを求めた。


「私にその答えを求めるのは残酷ですよ。社長」

「すまない」

俺は彼女が自分に好意を持っているコトが知っていたはずなのに、朱音のコトでいっぱいいっぱいなって彼女を傷つけてしまった。


「本当にすまない・・・」

「いいんですよ。社長。社長は本当に優しい人ですね」