プレシャス~社長と偽りの蜜月~
PART10*確かな愛
私は悪阻で気分が悪くベットルームで寝込んでいた。
「入るわよ。朱音」
母がノックして入って来た。
「雅人君から訊いたわよ。貴方、妊娠してるらしいわね」
雅人一人では手に負えないと考え、母に妊娠を告げて私を説得する魂胆が見え見え。
「私達、離婚するから・・・」
私はカラダを起こして初めて離婚を口にした。
母は呆れた様子で私の眠るベットに腰を下ろす。
「朱音、雅人君が居なきゃ、会社は倒産、銀行融資の担保にしたこの邸宅だって競売にかけられていたかもしれないのよ」
母の話は雅人の説明とは少し違っていた。
「私だってあの男とは別れるように説得したのよ。なのに、貴方は…貴方にとって雅人君は初恋の人でしょ?昔はあんなに雅人君に纏わりついていたクセに。どうしてそうやって冷たく当たるの?」