プレシャス~社長と偽りの蜜月~
「この邸宅が銀行融資の担保に入っていたと母から訊いたわ」
「そうだよ」
「どうして話してくれなかったの?」
「会社は倒産を免れたんだ。話す必要ないと判断した。それだけだ。でも、俺は会社よりも朱音が育ったこの邸宅を守りたかった。俺達が出会った想い出の場所でもあるこの邸宅を」
私の心を穏やかにしていく雅人の言葉。
どんなに憎まれ口を言っても、心の底からは憎めない。
この人は私を愛してくれている。この不甲斐ない自分を。
「私達、やり直せるのかな?」
「朱音?」
「私…この子を産む」
「朱音…それは嘘じゃないのか?」
雅人はガゼボの入り口に立ちすくむ。
「貴方は私の王子様で、お腹の子のパパでしょ?雅人」
「朱音・・・」
戸惑いがちに雅人は足を進めてベンチに座る私を抱き締める。
消えてしまった記憶。でも、私の小指に結びついた赤い糸の先は雅人の小指にそっと結びついている。
――――――これから生まれて来るまだ見ぬ私達の子の為に。
最初からやり直そう・・・
「そうだよ」
「どうして話してくれなかったの?」
「会社は倒産を免れたんだ。話す必要ないと判断した。それだけだ。でも、俺は会社よりも朱音が育ったこの邸宅を守りたかった。俺達が出会った想い出の場所でもあるこの邸宅を」
私の心を穏やかにしていく雅人の言葉。
どんなに憎まれ口を言っても、心の底からは憎めない。
この人は私を愛してくれている。この不甲斐ない自分を。
「私達、やり直せるのかな?」
「朱音?」
「私…この子を産む」
「朱音…それは嘘じゃないのか?」
雅人はガゼボの入り口に立ちすくむ。
「貴方は私の王子様で、お腹の子のパパでしょ?雅人」
「朱音・・・」
戸惑いがちに雅人は足を進めてベンチに座る私を抱き締める。
消えてしまった記憶。でも、私の小指に結びついた赤い糸の先は雅人の小指にそっと結びついている。
――――――これから生まれて来るまだ見ぬ私達の子の為に。
最初からやり直そう・・・