プレシャス～社長と偽りの蜜月～
ラッピング待ちながら店内の商品を再び見て回った。私達は足を止めて、ショーウィンドの硝子にに映るクリスマス用のディスプレイを眺めていた。

「木製の玩具か・・・木の温もりがいいよね」

「プラスチックには無い自然の味わいがあるよな」

雅人の柔らかな表情が一瞬で強張る。

私よりも先に彼が何かを察したのだ。ショーウィンドに近づいて来る白い車のボンネット。


「危ないっ！！！」

雅人は咄嗟に私を突き飛ばした。


大きな大音響が響き渡り、女性の悲鳴が鼓膜に鋭く突き刺さった。ショーウィンドの硝子は飛び散り、綺麗にディスプレイされていた商品が無残に散乱していた。


気づけば店内に白いセダンの車が店内に突っ込んでいた。


目の前で起こった出来事に思考が付いていけない。呆けて車を見つめる。

人の呻く声。


「雅人？」


突っ込んだ衝撃で車のボンネットが山のように盛り上がり、バンパーやヘッドライトも壊れ、フロントガラスは割れ、運転席に座っていた白髪の男性は額から血を流して気を失っていた。


私は懸命に立ち上がって車へと近づく。


硝子の破片の絨毯の上に横たわる雅人の姿が見えた。

下半身は車の下敷きになり、上半身からは夥しい血が彼のカラダから流れ出していた。

―――――雅人・・・！！？


私は雅人の血の色に頭が割れそうな激痛を感じた。そして、そのまま今起きたコトが夢であるコトを願うように逃避して、気を失った。


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