水晶の探偵
唖然としたまま硬直している晶。何も気にせずに座る2人。
はっと我に返った晶はスーツ姿の男性を指差して口を動かした。
「ちょっと守村!何で国枝さんがいるのよ!!
今回の依頼は一般の人からのものじゃないの!??」
「そうだけど」
顔色一つ変えずに冷静に答える守村。
そこへウェイターが現れ、注文を取り始めた。
晶が1人状況を読めず混乱している中、2人はのんきに注文をした。
「あんた…人の話聞いてる??」
「うん、だから“国枝学”って言う一般の方からの依頼。…っていうより相談か」
「つまり、警察は関係ないと」
「あぁ、そうなんですよね、国枝さん?」
少年がスーツ姿の男性に話し掛けた。
「そうだよ。知り合いの女性に頼まれてね」
「女性の相談は断われない女たらしが…」
ため息混じりで、晶がつぶやく。
「なんか言った?」
「何も」
男性の問いに呆れながら答え、晶はカプチーノに手を伸ばした。