水晶の探偵
Page3 パーティー
イライラしながら、最高においしいローストビーフを食べる晶。
「晶〜そんなにイライラしなくても〜」
隣に座っている美晴がなだめるが、イライラが治まる気配はない。
「ったく、どうしようもないだろ?
俺たちが北宮親子の情報を手に入れる機会は、このパーティーしかないんだから」
「だってさ…ただで私ら場違いなのに、それで政治家に近づこうなんて、無謀です」
「場違いじゃないわよ、どの道、晶のことは呼ぼうと思ってたし、守村君は来る予定だったんでしょう?」
「まぁな」
黒いスーツに水色のワイシャツ、こい灰色のストライプのネクタイ。響の視線の先には、政治家とは違うオーラを放つ男性がいた。
「親父の付き添いで来なきゃいけなかっただろうからな。」
「守村理事長は政治家の方ともつながりがあるのね…」
晶も響の視線の先を見る。
その男性――守村理事長すなわち響の父親は美味しそうに白ワインを飲んでいた。
にこやかに笑う姿はとても高校生の息子がいるとは思えない。