水晶の探偵
「で、例の北宮親子はどれ?」
「お前な…人を物扱いするな」
響の言葉に適当に返事をすると、辺りを見渡す。
どこもかしこも、高そうなスーツやドレスを着た男女の政治家ばかりだ。
数人、家族と思われる人もいるが、みんなどうも気合いが入っている。――制服で来ている晶と響に比べれば。
「ほら、あの人達よ。今手に赤ワインを持ってるのが、北宮知也さんで隣にいるのが和也さん。
んで、一緒にいるオフホワイトのドレスね女性が南城香恵さん。」
「ふーん…」
香恵さん自身と北宮和也は仲良いのか…
笑顔で会話する3人を見ながら晶は思った。
そう考えると結婚の障害になるのは、南城政人だけとなる。
国枝の話からすると南城政人の北宮和也に対する嫌悪感は大きいようだ。
確かに仲が悪いらしく、その様子は週刊誌の記事になるほどである。
なのに北宮和也は旗から見れば南城香恵と息子の交際を認めているようだし、香恵自身も北宮和也への嫌悪感はないように感じる。
香恵の和也に対する気持ちはともかく、和也が敵対する相手の娘を息子の相手として認めているのは若干気になった。