水晶の探偵
Page3 犯人の目的
コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。
一言晶が返事すると、ドアが開き、見慣れた眼鏡の少年が立っていた。
「守村、なんかわかった〜?」
「…なんだ、そののんきな喋り方は……」
何となく〜、と伸びやかに返事をして、腕を伸ばす。
呆れ顔の響に視線を移し、さっきとは真逆の真面目な口調で尋ねる。
「ここにわざわざ来たってことは、なんかわかったんでしょ?」
ワンテンポ遅れて、響は口を開いた。
「…あぁ。毒の在処だが、アイスティーに含まれていたらしい」
「アイスティー…?」
さすがに意外だったのか、顔をしかめる。
響は軽くうなずき言葉を続ける。
「そうだ。南城香恵が南城政人に飲ませたアイスティーから青酸カリが検出されたらしい」
「また、やっかいだね…。
確かに南城香恵はあのアイスティーを飲んだ。
彼女は倒れなかった。
なのに南城政人は亡くなった…」
「何らかのトリックを使って、南城香恵が飲んだ後に毒を入れたことになる」
「そうね…しかも、それは南城政人ではなく……南城香恵を狙ったとも考えられる、ってことか…」