水晶の探偵
目の前に座っている人物を見つめる。
その中にはもちろん、北宮親子もいた。
2人とも突然の出来事に、動揺しているようだった。
敵対していても、驚きは受ける。
ましてや、知也の場合目の前で亡くなった政人を見たのだ。
動揺していなかったら、人間性を疑う。
演技かもしれない、という考えも頭に刻む。
晶は、ゆっくりと2人から視線をずらし、隣にいる背の高い男性と、小太りな男性、そして派手な赤いドレスを着た女性を見た。
背の高い男性は、香恵の兄即ち政人の息子にあたる“南城拓人”。
せっかくの精悍な顔立ちも、青ざめており台無しだ。
隣にいる2人は政人を支持する派閥の中でも、政人に近い位置にいる人物。
男性は“東野亮太”、女性は“西尾茜”と言うらしい。
2人とも拓人同様、自体を完全にのみ込めていないらしい。
顔の表情からそれが分かる。