水晶の探偵
Page2 依頼主
無事1日を終え、晶は駅前の喫茶店『カフェ・ミント』に来ていた。
おしゃれな店内に流れる優雅なクラシック。
街中の騒がしいファーストフード店より、ミントの方が晶は好きだった。
たわいのない話で盛り上がるのも良いが、ちょっとした時間にゆっくりくつろぐとなると、ミントはそれにぴったりな場所だった。
それに、ここのケーキは絶品で雑誌やテレビにも度々紹介されていた。
この日晶はイチゴタルトを頼んでいた。
一口食べるとイチゴの風味とカスタードクリームの甘さが口のなかに広がり、疲れた晶を癒した。
5時30分…
ピンクの携帯電話を見る。
メールはきていない。
それなら、もうそろそろ来るはずなのだが…
ちょうどその時、入り口から学ランに黒ブチメガネの少年が入って来た。
少年は晶に気付くと真っすぐと席にやってきた。
「遅いぞ守村」
「悪い。でも、遅れたのは俺じゃない」
「どういう意味?」
怪訝な顔して少年を見る晶。
すると後ろからスーツ姿の男性が出てきた。
意外な展開に唖然とする晶。
「ごめん、晶ちゃん。遅れたのは俺なんだ」