躰全部が震えるキス
それが変わったのは……バーベキューの時

テニス部では、夏休みの練習や、合宿が男女合同で行われる。

練習だけじゃなく、親睦を深めるためのバーベキューなんかもあって、先生たちが張り切っていた。

そうなれば、当然私たちも仕事を手伝うことになり、自然と会話が増える。

そんなこんなで……初めて二人きりになったのが、先生からの頼まれごとだった。

「アスナ!タカノリ!ちょっと、飲み物買ってきてくれ!」

35℃越えの猛暑日の中、

「えー」

と声が漏れる私。

ところが、

「いいじゃん。行こうよ、アスミン」

「ア……アスミン!?」

「アスナちゃんだから……ダメ?」

「……別に」

こんな風に、人の心へずかずか入ってくるのは、タカノリの得意技。

「重かったら俺が持ってやるから」

と、背中を押され、しぶしぶ立ち上がる。

それもそのはず、最寄りの自販機までここから片道15分もあるのだ。

顧問の先生が、

「車で行ってやりたいけど、先生ビール飲んじゃったから」

なんてカラカラ笑っているけれど、絶対に確信犯だ。


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