躰全部が震えるキス
その日から、私たちの距離は近づいて行った。
タカノリが、明らかに私にだけ、話しかけることが増えていった。
部活が終わった後、校庭のゴールポストで語り込む時間が多くなる。
だけど、
「ねえ、二人は付き合ってるの?」
なんて問いには、
「そんなことないよ」
って答えてた。
私とタカノリは、特別仲のいい友達。
そう思っていたからこそ、ジュースの回し飲みだって平気だった。
始まってしまったら、終わりが来る。
それならこのまま、一緒にいると幸せ、そんな時間が続けばいいと思っていた。
お互いに惹かれ合っていることを確信できる状態で、過ごす毎日が楽しかったのだ。
ところが、タカノリもそう……ではなかったらしい。
ある日、いつものように二人で話していると、突然顔を近づけてきたのだ。
「そろそろ、いいんじゃない?」
「何が……」
急に縮まった距離に、心臓が破裂するかと思ったほど、いつの間にかタカノリへの気持ちが高まっていた。
「好き」も「付き合おう」もない二人の関係。
それを守る方法探しで、必死だった。