恋の人、愛の人。
日が空いて、梨薫ちゃんが来ることがあったとしよう。
いやいや、あの続きはあったんだ。実はこんな話があったんだ、と、後から言ったところで…思ってない人間が、取り繕う為に言ったと思われたら、もう…おしまいだ。話は一連で聞いてなければ駄目だ。意味が無い。
おいと呼び掛けたのだって、ただの引き止めの言葉だとしか取らなかったようだし。
何も声を掛けなくてもあそこまでの話で帰ったんだから、まず俺の思ってる通りだろう。
様子を見るしかないな…。今までの俺との事…よく考えて見れば、俺の事は解る事だ。俺の印象をどう思ってるのか…調子のいいだけの奴だと思っていたのならそういう事だ。
これは…物凄く初歩的な事だけど…、黒埼君に好きだと言われようが、…誰に言われようが、好きな奴が居るなら居るって言って、即、断るよな…。そうじゃないんだから、…俺と言わず、好きな奴は居ないって事だ。だよな?……はぁ。
ズンズン音がしそうな程、足に力を入れて歩いていた気がする。
…。
怒っているとか、苛々したとか、そんなんじゃない…。そうだったんだと思ったら何だか悲しくなっただけよ…。そうよ…悲しくて…寂しい気持ちになっただけ…。
親切も何もかも作りモノだったんだと考えたら…。
…その都度、合わせられてただけなんだ、…とか、…考えたくない。いつもそんな感じはしなかった。でも、それが上手、慣れているって事…?。どうなんだろう。
さぞかし…、はぁ…いつもいつも面倒臭かった事だろう。…。それを。客だから。そう、一応客だから…。
…。んー。……。ん゙んー。今のこの何とも言えない感情。誰かに聞いて貰いたい。会社の人とかでは駄目。ぶちまけられない。話しても大丈夫、安心できる人じゃなきゃ話せない。
…こんな時、話せる相手も…行く場所も無いなんて…。
聞いて欲しい事が出来た時…真っ先に行ってたのが陽佑さんのところだ…。
…。何…。私は…これからこういうの、どうしたらいいんだろ。…部屋に帰るしかないの?
…。はぁ、…も゙うーー。
ドアが開いた。
「いらっしゃいま、せ…。……梨薫、ちゃん…」
「…出戻りです。いいですか…」
「…そうか、…戻って来ましたか。…早かったな」
思い直したか。
「……はい…どうしても愚痴を聞いて欲しくて」
ぁ…愚、痴…。…あ、そういう事か。……ふぅ。今まで通り…。何も思い当たる事はなかった、か。
「あの、モスコミュール、ください」
モスコミュール、ね…。
「…畏まりました」
「陽佑さんも…どうぞ…」
「…それはどうも…有り難うございます。では、遠慮なく」
「はい、どうぞ。…私…、どうやら、溜めて我慢するってして来なかったみたいで…帰ったって一人だから。そう思ったら、愚痴というか…話したい事、誰かに聞いて貰えないと…ぶつぶつ部屋で呟いたって…すっきり出来ないから…」
「そうですか」
…はぁ。左様でございますか。
「…いいんです。…こっちに合わせてくれて…面倒臭く思われていても、…仕事としてでも聞いてくれるなら、……聞いて欲しいから。私だけが特別だなんて思う、その考え方が間違ってたんです。…そうです、それが可笑しい考え方だったんです。…驕りだったんです。私は、一、お客で…。
…ここは、お店、…バーなんですから」
違うだろ。はぁぁ…なんだよなぁ。…理解して戻って来てくれたら、言えた事もあったのに。
俺にとって君は特別なんだけどな…。
「うかがいますよ?それで…どうされましたか?…お客様」
ぁ…どうされましたか?
いやいや、あの続きはあったんだ。実はこんな話があったんだ、と、後から言ったところで…思ってない人間が、取り繕う為に言ったと思われたら、もう…おしまいだ。話は一連で聞いてなければ駄目だ。意味が無い。
おいと呼び掛けたのだって、ただの引き止めの言葉だとしか取らなかったようだし。
何も声を掛けなくてもあそこまでの話で帰ったんだから、まず俺の思ってる通りだろう。
様子を見るしかないな…。今までの俺との事…よく考えて見れば、俺の事は解る事だ。俺の印象をどう思ってるのか…調子のいいだけの奴だと思っていたのならそういう事だ。
これは…物凄く初歩的な事だけど…、黒埼君に好きだと言われようが、…誰に言われようが、好きな奴が居るなら居るって言って、即、断るよな…。そうじゃないんだから、…俺と言わず、好きな奴は居ないって事だ。だよな?……はぁ。
ズンズン音がしそうな程、足に力を入れて歩いていた気がする。
…。
怒っているとか、苛々したとか、そんなんじゃない…。そうだったんだと思ったら何だか悲しくなっただけよ…。そうよ…悲しくて…寂しい気持ちになっただけ…。
親切も何もかも作りモノだったんだと考えたら…。
…その都度、合わせられてただけなんだ、…とか、…考えたくない。いつもそんな感じはしなかった。でも、それが上手、慣れているって事…?。どうなんだろう。
さぞかし…、はぁ…いつもいつも面倒臭かった事だろう。…。それを。客だから。そう、一応客だから…。
…。んー。……。ん゙んー。今のこの何とも言えない感情。誰かに聞いて貰いたい。会社の人とかでは駄目。ぶちまけられない。話しても大丈夫、安心できる人じゃなきゃ話せない。
…こんな時、話せる相手も…行く場所も無いなんて…。
聞いて欲しい事が出来た時…真っ先に行ってたのが陽佑さんのところだ…。
…。何…。私は…これからこういうの、どうしたらいいんだろ。…部屋に帰るしかないの?
…。はぁ、…も゙うーー。
ドアが開いた。
「いらっしゃいま、せ…。……梨薫、ちゃん…」
「…出戻りです。いいですか…」
「…そうか、…戻って来ましたか。…早かったな」
思い直したか。
「……はい…どうしても愚痴を聞いて欲しくて」
ぁ…愚、痴…。…あ、そういう事か。……ふぅ。今まで通り…。何も思い当たる事はなかった、か。
「あの、モスコミュール、ください」
モスコミュール、ね…。
「…畏まりました」
「陽佑さんも…どうぞ…」
「…それはどうも…有り難うございます。では、遠慮なく」
「はい、どうぞ。…私…、どうやら、溜めて我慢するってして来なかったみたいで…帰ったって一人だから。そう思ったら、愚痴というか…話したい事、誰かに聞いて貰えないと…ぶつぶつ部屋で呟いたって…すっきり出来ないから…」
「そうですか」
…はぁ。左様でございますか。
「…いいんです。…こっちに合わせてくれて…面倒臭く思われていても、…仕事としてでも聞いてくれるなら、……聞いて欲しいから。私だけが特別だなんて思う、その考え方が間違ってたんです。…そうです、それが可笑しい考え方だったんです。…驕りだったんです。私は、一、お客で…。
…ここは、お店、…バーなんですから」
違うだろ。はぁぁ…なんだよなぁ。…理解して戻って来てくれたら、言えた事もあったのに。
俺にとって君は特別なんだけどな…。
「うかがいますよ?それで…どうされましたか?…お客様」
ぁ…どうされましたか?