恋の人、愛の人。
「はぁ…年下で、それだけでも頼りないのに、更に子供っぽくなってるって事ですよね」
「それはどうかな。女性が感じる感じ方は、相手に求めるモノがあるからだと思うから。
何も無い者同士なら、気にしないだろうね。
感じ取る相手によるところはあるなぁ。
大して自分の事を知らない人間が、外見だけで憧れて、素敵〜なんていうのは、まさに何も知らない証拠だよな。
きっと、年下の女性からなら、頼りないなんて印象も持たれない。
それはまさに年齢マジックだよ。
だから、梨薫ちゃんだって、君の事が本当に頼りないかどうかなんて解ってないはずだ。5つ下だって事だけが、それを作り出しているだけだと思うよ。
ま、実際どうしようもなく頼りないなら、仕方ないけどね」
「実際の俺ですよね…。求められる大きさに違いがあれば、それはやっぱり希望には届いてないって事だし」
「落胆する事はないだろ」
「え?」
「成長過程なんだからって、思って貰えばいいさ。今日足りてなくても、明日、成長してるかも知れないってさ。
出来なくてもいいんだよ。それも駆け引きの一つだ。そうして、我慢じゃないけど待ってみてくれるようなら、まだ全然いけるだろ」
「あ、そうですね」
「駄目だと言われて、はいそうですか、では、好きじゃないんじゃないかって思われるだろ。そんなモノだったのって」
「それは、簡単に引くつもりはありません」
「なら、いい」
「あの、どうしてプラスになる事ばかり話してくれるんですか」
どちらかと言えば、駄目になればいいと思うだろうに。
「羨ましいと思うからかな」
「え?」
意外な事ばかり言われる。
「迷い無く、部屋に押しかけるとか、もう出来ないからね、俺」
「あ゙」
…もう、本当に何でも知ってるよ…。
「その年齢が懐かしいし、羨ましい。余程拒否されない自信がないと、もう出来ない無鉄砲だな」
「はい…俺も、もう焦れてましたから」
無鉄砲、そうだな。隣の部屋の人の迷惑とか梨薫さんの立場とか考えてなかったもんな。
…通報するって、言ってたし。