恋の人、愛の人。


「…梨薫、朝のサービス、断っておこうか。身支度して待ってるって無理だろ」

「ん…何時、ですか…」

「今?それとも朝食の時間?」

「…んー」

部長の胸に乗せていた手を取られて口づけられた。

「まだ朝じゃないよ。少しの時間眠ってしまったからよく解らなくなっただろ」

「んー……お腹、空きました…」

「フ…そうか。空腹で目が覚めたのか。俺も…まだ満腹とは程遠いんだ…」

頭を撫でられ抱き寄せられた。

「…梨薫…」

握られていた手をそのままに半身になって下にされた。

「…部長…ぁ、もう…今は駄目です…」

「…無理はさせない」

あ、…意味が解らない…。ベッドに運ばれてからずっと…じっくり優しく翻弄され続けた。何度も名前を呼ばれて、しがみつくように部長を抱きしめた。いつ眠ってしまったのかよく解らない程だ。それなのに。

「梨薫が眠ってしまったから…寂しかった…ずっと寝顔を見て…キスしてた…」

…部長、ん…あ、…部長…ぁ。
沢山愛されていた身体は部長をすんなりと受け入れ深く繋がった。
優しく唇が重ね合わされた。


「はぁ梨薫…離婚歴のある男で構わないと言うのなら、結婚を考えたつき合いをしたい。入籍することが嫌というなら…事実婚はどうだろうか。俺は一緒に居たい。まだこんな話は気が早いか?」

組み合わされていた手を解いて腕を回して抱きしめられた。

「…駄目って、嫌って言ったらどうするつもりですか……あ」

「またこの先も待たせるのか?…駄目なら見守る…しかない…」

身体に口づけられた。時折チリチリと軽い痛みが走った。

「それは約束だから…ですか?」

「そうだという部分と、俺自身の気持ちと両方でだ」

「…つき合っている内に壊れたら?」

「…そんな事、考えた事もないな…」

唇が触れ食まれた。深く合わされた。

「…ん、…ん、始まってないから?」

「…違うな。俺の中では壊れるとか有り得ない。…つき合うシミュレーションは何十回何百回もして来た。稜から聞かされた話で梨薫との事を想像した。それには…こういう事も含まれていた…」

…、ぁ。…部長。まだ…動かないで…。あ…。
ギューッと抱きしめた。

「性格とか実際でないと解らないものは、美化しても仕方ない。だから、性格が合わなかった事も想定もした。そうしておけば免疫があるのと同じだろ?
…だから…少々の事では…壊れたりしないんだ…梨薫…」

どんな私でも、全てを受け入れるってこと?
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