君がいた冬
第2話
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第2話
愛車ランドローバーにギターを放り込んだ。
こいつは僕の旅の相棒であると同時に、東京で少しばかり儲けていたことが幻ではないことを思い出させてくれる存在でもある。
過去の栄光、というやつか。
今は無職だから。
そして、札幌での小さなアパート暮らし。
なぜ札幌に住むことにしたかって?
実を言うと、稚内とか羅臼のような北海道らしいところに住みたかったのだ。
しかしそれは「職探し」という現実と天秤にかけた時、真っ先に諦めるべきことだった。
右側に時々海を見ながらクルマを走らせると、札幌からさほど遠くない戸崎さんの知り合いの民宿に着いた。
民宿に入ると、旅人達が集まっていた。
見慣れない顔が多かったが、見慣れない顔の人間とすぐに会話を交わすことにはもう慣れた。
酒と笑い声と旅の話と。
そう、持ってきたギターは、もちろんみんなの前で歌を歌うためである。何曲か歌を歌った。
席に戻り、少しばかり酒を飲んでいると、不意に話かけられた。
それが賀代との出会いだった。