【短編】弱った君が愛おしい
「全然仲良くないし!こんな性格悪いやつ!」
「はぁー?調子乗ってすぐ人のこと振る女より全然性格いいですけどー」
「はぁぁぁ?」
ほんっとむかつく。
昔はこんなに性格悪くなかったのに。
中学の途中からだんだんと悪化している。
何が一体原因なのかは知らないけど。
「木村くん、さくらにだけはすっごい意地悪だよね?もしかしてヤキモチ?」
「…フッ」
女の子たちに軽くからかわれた翔吾が急に笑った。
「俺そんなガキじゃねーよ。好きな奴にはすげー優しくする。あとは可愛い子」
○ね、
と思わず言いそうになるくらいこいつの性格の悪さは異常だ。
「あんたこそ、そんな性格だから好きになってくれる女の子なんて1人も────」
「翔吾くーーん!」
教室のドアのほうから翔吾の名前を呼んだ声がしたので振り向くと、
顔を出した数名の女の子たちが、翔吾に向かって手を振っていた。
くっそむかつく。
なんでこんな性悪男がモテるんや。
体を翔吾の席に向き直すと翔吾は笑顔で彼女たちに手を振ってるし。
あぁ、彼には雷くらい当たって欲しい。