【短編】弱った君が愛おしい









翔吾が風邪を引いた。


それを聞いたのは、出席確認中の担任からだった。


ざまぁだよ。


雷は落ちなかったけど、私への扱いが酷すぎてバチが当たったんだ。



「さくら、あんた今すごい悪い顔してるよ」


「フフッ、天罰だよね。翔吾」


休み時間に友達に指摘されても私の嬉しさは止まらない。


苦しむがいい翔吾よ。


ブーッブーッブーッ


机の中に入れてた携帯のバイブ音がして、私は慌てて携帯を取り出す。



『《ママ》翔ちゃん風邪ひいたみたいだから、帰りにお見舞い買って持っていきなさいね』



おーぅ。


なんやこの母上。


家が隣で母親同士は昔からのお友達。


切っても切れない縁とはまさにこのことだと思う。


これママ、あとで翔吾ママに私がちゃんとお見舞い持って行ったか確認メール送るやつやん。


あぁ。


せっかく今日くらい会なくて済むって喜んでたのに…。



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