秘め恋

 内から熱く燃え上がる欲の波を野放しにした瞬間、このために自分は女を求めるのだと実感した。一方で、頭の片隅では淡々と自分を観察してみることもあった。

 こんなものか恋愛って。ん? これって恋愛か? なんか違うような気もするけど、まあいいや。考えるのダルいし。

 そんなある日、マサに何度目かの別れが訪れた。長期間彼女が途切れなかったせいか、別れて数日間、暇と欲望を持てあます。

 社会人ならいざ知らず、高校生の自分が欲求を満たせる場は限られてくる。大金を持っているわけでもない。

 もんもんと日々が過ぎる。体を突き破りそうな欲が内に横たわっているにも関わらず、こちらから適当な女性を積極的にナンパする度胸も湧いてこなかった。

 女性ウケの良かったこれまでの自分。良くも悪くも、女性から迫られる経験ばかりが積み重なり受け身体質が出来上がっている。

 誰でもいいから抱きたい。いや、誰でもいいは嘘。好みの子がいい! 可愛い子が通学途中の道端で自動的に一目惚れしてきてくんないかなぁ。

 そんな都合の良い相手がいたら誰も苦労しない。頭では分かっていたが、自分の欲に飽きるほどのため息をついてもなお、女の肌を求めてしまう自分がいた。どう抑えていいのか分からない。

 生身の性行為を知らない頃だったら一人遊びでそこそこ満足できたが、女性の体を一定数知ってしまった今とても贅沢な感性になってしまったらしく、自分の慰め方では物足りない。

 でも、そういうことする前、女子って絶対恋とか愛とか説明の難しい単語を持ち出してこっちの気持ち確かめたがるよね。アレ何なんだろう。

 正直こっちはそんなのどうでもよくて、とりあえず気持ちよくなりたいばっかり。パパッとさ。ヤる前に少女漫画みたいなセリフ考えるのけっこう面倒なんだよね。そうしないとさせてくれないから必死にそれっぽいこと言うけどね。

 いっそ、ジュースやお菓子みたく、欲しくなった時に都合のいい子をコンビニとかで買えたら便利なのに。ま、無理だろーけど。
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